世界の機関リポジトリSaaS:日本が学べること 

はじめに 

日本の大学が無償公開の要件を実装する中、世界の機関リポジトリ基盤の選択肢を理解することが重要になっています。この記事では、世界で利用されている主要なSaaS型機関リポジトリ基盤を比較します。 

国立情報学研究所が管理するJAIRO Cloudは、現在日本で約790の機関リポジトリにサービスを提供しています。この基盤は、大学の管理システムとのオンライン連携には対応していません。一方、世界中の大学は、研究者情報システム、ORCID、研究データベースとの連携機能が組み込まれたクラウド SaaS基盤を採用しています。 

この比較は、リポジトリ基盤を評価する大学執行部、図書館長、IT管理者向けです。 

システム連携の比較 

機能 日本(JAIRO Cloud) 世界のSaaS基盤 
大学システムとの連携 非対応 標準機能 
ORCID連携 限定的 完全対応 
研究者による自己登録 限定的 自動化された作業流れ 
カスタマイズ 最小限 高度 
無償公開の遵守追跡 なし 組み込み済み 

主要な世界のSaaSリポジトリ基盤 

1. Digital Commons(エルゼビア) 

サイト: https://www.elsevier.com/products/digital-commons  

主にアメリカで600以上の機関が利用し、米国の機関リポジトリ市場の約50%を占めています。 

主要機能: 

  • 完全なクラウド運営、容量無制限 
  • Scopus、ORCID、Google Scholarとの連携 
  • 機関ごとのブランド化が可能 
  •  商業SaaS型 

2. Figshare for Institutions 

サイト: https://info.figshare.com/academic-institutions/  

世界で100以上の機関顧客が採用し、英国とオーストラリアで強い存在感があります。 

主要機能: 

  • 1,200以上のファイル形式に対応、ブラウザでプレビュー可能 
  • 開かれたAPIを通じたORCIDと研究者情報システムの連携 
  • FAIR原則準拠、Altmetricデータ組み込み 
  • 研究により、従来型システムと比較して研究者の登録率が高いことが示されています。 

3. DSpace + SaaS運営 

サイト: https://dspace.org  

世界で3,000以上の組織に導入されています。MIT発祥で、現在はLYRASISが管理。 

主要機能: 

  • オープンソース・ソフトウェア、SaaS運営も選択可能 
  • 日本語を含む22言語対応 
  • ORCID、OpenAIRE、RORとの連携 
  • 業者固定なし 

4. EPrints 

サイト: https://www.eprints.org  

サウサンプトン大学で開発。世界で600以上の機関が利用し、特に英国とヨーロッパの大学で採用されています。 

オープンソースまたはEPrints ServicesによるSaaSとして利用可能です。 

SaaS対自己構築:世界の採用傾向 

DuraSpaceの調査によると、72%の機関が機関リポジトリのために外部事業者による運営サービスを利用しています。 

主な理由は: 

  • 予測可能な運営費用 
  • 自動的なソフトウェア更新とセキュリティ修正 
  • サービスレベル合意付きの専門的支援 
  • 内部IT人員要件の削減 

一方で、自己運営型リポジトリは、専門のIT基盤を持つ研究集約型大学で今も一般的です。 

関連サービス 

MFオープンアクセス支援システム(機関リポジトリ 連携DXオプション)株式会社メディアフュージョン 

無償公開要件 を実装する日本の大学にとって、メディアフュージョンはリポジトリ機能と大学管理システムの間の連携機能を提供します。 

主要機能: 

  • 業績管理システムのデータを活用し、JAIRO Cloudへの論文やデータの公開を支援する。UnpayWallOpen Policy Finder(旧Sharpa/Remeo)との連携もオプションで可能。 
  • 業績管理システムの代わりに、researchmapのデータを活用することも可能。 
  • Microsoft 365上で稼働し、サーバーは不要。 
  • DMPから管理をするフル機能バージョンも用意している。 

まとめ 

世界のリポジトリ基盤は、研究者情報システム、ORCID、研究データベースとの連携機能を備えたクラウド型SaaS基盤に移行しています。主要な基盤は、自動化された作業流れとシステム接続性を標準機能として提供しています。 

無償公開要件を実装する日本の大学にとって、世界で標準となっている連携機能を理解することは、基盤計画の決定に役立ちます。